ワインショップ飛附屋トップフランスワイン・ブルゴーニュコート・ド・ニュイドニ・モルテ家

【Denis MORTET:ドニ モルテ】

ドニ亡き後も、息子と母親が懸命にワインづくりに取り組む

その濃縮感に富んだ艶やかなワインで、ブルゴーニュでトップのつくり手たちの仲間入りを果たしたドメーヌも、2005年初め、ドニの死去という突然の不幸に見舞われた。現在は息子のアルノー――まだ20代半ばだが、1997年からドメーヌを手伝い始め、その後もメオ=カミュゼやルフレーヴ、さらにオーストラリアで研修を積んだ――が母親のローランスとともに懸命にワインづくりに取り組んでいる。
今日、畑へ還れという言葉はすこしも珍しくないが、ドメーヌでは以前からテロワールを重視し、祖父シャルル――父ドニは1970年代半ばにシャルルの元で働き始め、1990年代初頭、その引退に伴い跡を継いだ――の時代から化学肥料などは用いず、一貫して有機栽培での耕作をおこなってきた。そのようにして育てられたぶどうは収量を抑制し、必要とあらばヴァンダンジュ・ヴェールトも付す。そして収穫は早期におこなう。当然年毎のぶどうの出来によって異なりはするが、ドメーヌでは過熟を好まず十分な酸があるうちの収穫を実施。

醸造の面で徹底しているのは100パーセントの除梗。ワインに苦味、青臭さが付くことを避け、果梗は用いない。また果汁はヴァン・ド・グートのみ使用、ヴァン・ド・プレスはネゴシアンへ売却。発酵はMPFを含め長期間にわたり、ピジャージュは日に2回から3回。あてがう新樽の割合もドメーヌの大きな特質のひとつで、ヴィラージュ以上は全て新樽での熟成となる。とはいえ、出来あがるワインは樽臭さなど微塵も感じさせない優美なものだが、この樽の使い方にドメーヌの並々ならぬ力量が窺える。1年半前後の樽熟の後、瓶詰めとなるが、グラン・クリュのシャンべルタンとクロ・ド・ヴージョは樽から直接手詰め。

興味深いのが赤、白のACブルゴーニュ。ワインは本拠地ジュヴレの周辺の区画からではなく、ディジョン市のすぐ北西にあるデ――Daix――の村の標高400メートル以上の斜面からつくられる。ドメーヌの得意とするACジュヴレ――2003年のミレジムまではアン・デレ、アン・シャン、アン・モトロ、オー・ヴェレ、コンブ・デュ・ドシューの各キュヴェ毎に瓶詰めしていたが、2004年はメ・サンク・テロワールとしてアサンブラージュした――に、クリマ毎のプルミエ・クリュとジュヴレ=シャンベルタン・プルミエ・クリュ――シャンポー、ベレール、シェルボド、プティト・シャペル、各区画のアサンブラージュ――はさすがドニ・モルテと思わせるワインで、まるみがありシルキーながらしっかりとした構成も備え、グラン・クリュ――入手はほとんど不可能――でなくとも十二分にドメーヌの水準の高さを満喫できる。


今日、ドメーヌを運営するのは故ドゥニ・モルテの長男アルノー・モルテ。
2006年、24歳の若さでこの名高いドメーヌの運営を任されることとなった。専門学校を中退し、メオ・カミュゼとドメーヌ・ルフレーヴで研修。
13歳の頃からすでに父の手伝いをさせられていたそうだが、2000年以降、フルタイムで働いている。

ドメーヌ・ルフレーヴで研修したのは自身もわずかながら白ワインを手がけ、ビオディナミにも興味があったため。ルフレーヴで働いた結果、ビオディナミの難しさを理解したという。
今日、11.2haの畑はきわめてビオロジックに近く、化学肥料、殺虫剤、除草剤には頼らない栽培がとられている。

ドゥニ時代のドメーヌのワインは、いかにもジュヴレ・シャンベルタンらしい、強い抽出と凝縮感をもつワインであった。
しかし、息子のアルノーは、抽出が強過ぎるのではないかと父の造るワインに疑問を抱き、2000年にそれを訴えて以降、ピジャージュの頻度を減らすようになったという。

醸造法は、原則として完全除梗(2009年のような暑い年は半分くらい全房を含める)のうえ、低温マセレーション。発酵容器はコンクリートタンクを使う。
1日1回のルモンタージュと2、3回のピジャージュ。新樽率も父の時代と変わり、以前はほぼ100%新樽熟成だったが、現在は村名ジュヴレ・シャンベルタンで60?70%まで下げている。熟成期間は18ヶ月。

かつて5つの区画名入りジュヴレ・シャンベルタンを造っていたドゥニ・モルテだが、その後、それらをひとつにまとめた「ジュヴレ・シャンベルタン・メ・サンク・テロワール」に集約。それを今度は以下の3つのキュヴェに整理した。
アン・マトロとオー・ヴェレを中心とするノーマルの村名ジュヴレ・シャンベルタン。
コンブ・デュ・デゥシュとアン・ドゥレを中心に樹齢70?80年の古木を用いて造られる「ジュヴレ・シャンベルタン・ヴィエイユ・ヴィーニュ」。
それに1級シャンポーに隣接した、小石の多い樹齢70年の区画、アン・シャンのみから造られる、唯一の区画名付き村名「ジュヴレ・シャンベルタン・アン・シャン」だ。

アルノーの時代になり、ワインは力強さと同時にフィネスやエレガンスを備えたものとなり、口当たりはまろやかに、喉越しはスムーズに変化しているのは確か。
また、アルノーはマルサネやフィサンなどコート・ド・ニュイ北部のアペラシオンに関心を寄せ、この地域の畑を増やしており、それらのワインの品質がすこぶる高い。
ジュヴレ・シャンベルタンに比べてその6割程度の価格で入手可能なマルサネやフィサンは、じつにお値打ちなワインである。
(2020年5月)


2008 Bourgogne Rosé

ブルゴーニュ ロゼ 750ml   
《ロゼ》【辛口】
使用葡萄品種:ピノ ノワール100%


            3,150円(本体価格3,000円)










ごめんなさい、只今品切れ中(2010年2月8日)です。次回入荷まで今しばらくお待ち下さいませ。




2017 Gevrey­Chambertin Mes Cinq Terroirs
ジュヴレ シャンベルタン メ サンク テロワール 750ml  
《赤》【フルボディ】
使用葡萄品種:ピノ ノワール100%

アン・マトロ0.35ha、オー・ヴェレ1.3ha、それに他の村名畑0.85haをアッサンブラージュ。
アン・マトロのストラクチャーとオー・ヴェレのしなやかさが一体となった、バランスのよい村名ジュヴレ・シャンベルタン。
豊かな果実味と同時に堅牢さも感じられ、アフターにはスパイシーな余韻が続く。

    14,300円(本体価格13,000円)


ごめんなさい、只今品切れ中(2023年10月26日)です。次回入荷まで今しばらくお待ち下さいませ。