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父から子へと受け継がれるコート ロティの伝統
ドメーヌ ビュルゴーは、コート ロティの中心地であるダンピュイ村に位置しています。
ビュ ルゴー家は、1900 年代初頭からワイン造りに携わってきましたが、当時は酪農や果樹栽培など を含む複合農業を行っていました。
葡萄栽培とワイン造りに情熱を持っていたロジェ ビュル ゴーは、昼間は工場で働いて畑の購入資金を貯め、午後からは畑で働き、1960 年から 1980
年 にかけて、少しずつ葡萄畑を買い足していきました。
1980 年になると、ロジェの息子のベルナー ルがドメーヌを引き継ぎ、複合農業を止めてワイン造りに専念することを決め、ドメーヌ ビュ ルゴーを設立しました。
当時、コート ロティの葡萄畑の全栽培面積はわずか 80ha(現在は 332ha)しかありませんでした。
第一次世界大戦でこのエリアの多くの生産者が犠牲となり、畑 が放棄されてしまったためです。
ベルナールは 1980 年から 2000 年にかけて、放棄された畑 を買い取り、葡萄の植え替えを行いました。
こうして、ベルナールや同世代の生産者が葡萄畑の 再生に動き、コート ロティは産地としての復活を遂げました。
現在、ベルナールは引退し、2020 年から息子のピエールがドメーヌを引 き継ぎ、家族のワイン造りを継承しています。
6 つの小区画のシラーをブレンドし、その年の個性を表現する
ドメーヌは現在、4.5ha の畑を所有しています。
「コート ブロンド」、「レ ムートンヌ」、「ル シャ ンパン」、「ラ ブロセ」、「フォンジャン」、「レイヤ」と様々な場所に畑を所有しています。
コート ロ ティでは複数の区画の葡萄をブレンドしてワインを造るのが主流でしたが、近年、多くの生産者が単 一畑ごとのワインを造るようになりました。
しかし、ビュルゴー家は流行を追わず、区画ごとに個別 のキュヴェを造るのではなく、1つのヴィンテージに 1 種類のコート ロティだけを造り続けてい
ます。
ピエールは、「異なる区画の特徴やテロワールは、毎年同じように再現することは出来ません。
年による気候の違いは、ワインの特徴に大きな影響を与えます。葡萄が早く熟す南のエリアがベスト な年もあれば、熟すのが遅い北のエリアがベストな年もあります。
すべての畑の葡萄をブレンドし、 毎年同じ品質レベルのワインを造るのは非常に難しいことですが、区画ごとに別々のキュヴェを造 るよりも、ブレンドすることで、よりバランスのとれたワインが出来ると考えています」と語ってい
ます。
今では、このような生産者は珍しくなっていますが、伝統的なコート ロティ本来の姿を追求したワインとして、次第にドメーヌの 評判を高めていきました。
ジャンシス ロビンソンは、ギガルの他にコート ロティで信頼に値する生産者の一つとして、ビュルゴーの名 前を挙げています
急斜面での重労働を経て生み出される極上のワイン
葡萄は急斜面に植えられ、畑の地形は均一ではないため、トラクターなどの機械を入れることはほと んど不可能です。
過酷な肉体労働が必要とされるため、この仕事に情熱をもっていなければ働けませ ん。
冬の剪定、春の芽掻き、枝の誘因、夏の摘心、グリーンハーベスト、収穫などをすべて手作業で 行っています。
コート ロティはシラーの栽培地の北限にあり、これよりも北のエリアになると十分 に熟すことが出来ないとされています。
リッチで集約があり、長期熟成に向くワインにするためには、 収量制限、畑の衛生管理、各区画に適した収穫時期を見極めるなど、様々なポイントがあります。
サ ステナブルな葡萄栽培(リュット レゾネ)を実践しており、フランス農水省によるの HVE(環境価 値重視)認証を取得し、
化学的な農薬の使用を制限、CO2 の排出量を減らし、畑の生物多様性を保ち、自然環境を尊重し たワイン造りを行っています。
また畑の横では養蜂を行い、ミツバチが生物多様性を保つのに貢献してくれています。
ピエールは、「すべては葡萄から始まる」と考え、まず品質の高い葡萄を得ることが第一だと言います。
所有する 4.5ha の畑は人の手が届く大きさで、どの畑も近く歩いて見に行ける範囲にあり、1 日 あれば全部の区画を見回ることが出来ます。
何かあっても効率良く迅速に対応でき、それが品質につ ながると考えています。
「私たちのワイン造りはナチュラルかつシンプルです。品質の高い葡萄さえ あれば、ワイン造りはシンプルになります」。
収穫は、9 月から 10 月の間に 2 週間から 3 週間をか けて、葡萄の熟度に合わせて数回に分けて手摘みで行います。
2017 年からは、ベルナールがスイス の葡萄畑にヒントを得て独自に開発した「ケーブル運搬システム(右写真)」を使って葡萄を運んでい ます。
畑の近くにある高さ 4 メートルの木の幹をコンクリートで固め、トラクターのエンジンで駆動 するケーブル運搬システムを固定させました。
全長 80 メートルのケーブルを、斜度 56%の急斜面の葡萄畑にわたしています。
畝の間に 機材を設置せずに、直線で畑の下から上へ運べるように固定しました。
ケーブルは人に当たっても怪我をしないように、スチールよりも強 度があり、安全性の高いシンセティック素材のロープを使っています。
こうして収穫を終えた葡萄は、ドライなタンニンが出ないよう 100%除梗し、酵母を添加せずに天然 酵母を用いて発酵させます。
天然酵母は、アペラシオンの特徴、テロワールを表現する大切な一つの 要素であり、その年の独自性を色濃く表現すると考えているためです。
発酵中はピジャージュを行い 色と果実味を抽出します。2 週間の発酵と醸しの後、マロラクティック発酵が終わったらすぐにブレ ンドを行い、
早い段階からワインの均一性を保つことで、バランスのとれた味わいにしています。
熟 成は 228L のブルゴーニュ産のオーク樽で行い、全体の 20%を毎年新しくしています
(新樽比率 20%)。樽の香りがワインの持つテロワールやヴィンテージの個性を覆い隠してしまわないように、 新樽の比率は低めに抑えています。
「マーケティング本意の単一畑ブームを拒み、コート ロティ本来の姿を探求するベルナール ビュルゴー(ワイナート18号)」
FC−357 2016 Côte Rôtie
コート ロティ 750ml
《赤》【フルボディ】
生産者:ベルナール ビュルゴー
等級:AOCコート ロティ
葡萄品種:シラー
熟成:228Lのオーク樽(新樽20%)で15ヶ月
「2016 年は収穫時期が通常よりも遅かったが偉大なヴィンテージ。
2010 年や 1978 年に似て葡萄は素晴らし く成熟しました。荒々しさが無く、たっぷりとした口当たりで、ストレートながら素晴らしくエレガントです」。
葡萄の平均樹齢は 40 年ですが、中には 100 年近い葡萄もあります。
葡萄は手摘みで収穫し、除梗して 35hL のコンクリートタンクに入れ、天然酵母で発酵させます。
発酵中、1 日に 4 回のピジャージュを行い、発酵の 初期、中盤、終盤にルモンタージュを行います。
熟成は、228L のオーク樽(新樽比率 20%)で 15 ヶ月行い ます。
熟成中は 3 ヶ月置きに澱引きを行います。軽くフィルターをかけてからボトリングします。
★「ヴィノス 2019.9」で 92 点
10,780円(本体価格9,800円)